先生たちがブツブツブツ…(令和3年度)

うらやましいなあ。

2022年1月19日 16時34分

こんにちは、村瀬です。

先程まで屋外で作業に勤しんでおりました。

最近は、冷え切った手をお湯で洗い流し、

じんじんと体温が戻る感覚を、密かに楽しんでおります。

 

さて、本校では今週一杯、

「特技見せちゃおうぜ大会」

が開催されております。

その名の通り、自分の特技を全校に発表する会です。

ダンスに漫才、体操にバレエ、バイオリンにBMXなどなど、

多種多様な特技が発表されております。

昨今の情勢で、残念ながら放送での披露となってしまいましたが、

画面越しでも十分そのすごさが伝わってきます。

 

このイベントは、名前こそ違えど、長い間行われています。

6年前、村瀬が相野山小学校に赴任した年も開催されていました。

その際、現在は他校に転勤されたU先生から、

「初めて来た人は、この会に出場しないといけないんだよ」

と、告げられました。

根っからの人見知りで恥ずかしがり屋ですし、

かつて先輩教師から、

「教員は子どもより目立つようなことをするでない」

との教えを受けておりましたので、辞退しようと考えました。

しかし、U先生があまりにも真剣な顔で諭してくるものですから、

伝統には抗(あらが)ってはならないと思い、

引き受けることにしました。

 

引き受けたはよいものの、

当然ながら、村瀬には特技なんてありゃしません。

強(し)いて言えば、

「大きな音で拍手をならせる」

という技がありますが、

舞台でそれを披露しても、オーディエンス(観客)はきょとんと静まりかえり、

体育館にただパンパンと音が高らかに響くだけ、

という惨事(さんじ)が容易に想像できます。

散々苦悩した挙げ句、一つの考えが浮かびました。

「そうだ、特技がないなら、つくればいい!」

 

期間はわずか1週間しかありません。

新しい技の習得に、

寝る間を惜しんで努力する日々が始まりました。

そのかいあって、どうにか形にすることができました。

その特技は、

「鼻リコーダー」

鼻息でリコーダーを吹く技です。

しかも、鼻の穴それぞれを使い、同時に2本奏でるという大技です。

片手での演奏なので、「ソ」より低い音を奏でることができない欠点はありますが、

それでも子どもたちの度肝(どぎも)を抜くに違いありません。

曲は、世界的名曲で、片手でほとんど弾ける曲、

「ミッキーマウスマーチ」です。

片手で対応できないところは、口で音を奏でる技もぬかりなく用意しています。

 

というわけで、いざ本番。

体育館に集まった大勢のオーディエンスに魂の演奏をぶつけます。

「ド・ドド・ドド・ドド・ドレ・ドシ・ラソー」

上々の滑り出しです。

オーディエンスもあまりの高等テクニックに言葉を失っている様子です。

しかし、良かったのは、そこまで。

息を使い切り、あまりにもたくさん空気を吸いすぎて、

次に放出した鼻息が荒くなってしまい、へんてこりんな音を奏でてしまいました。

そのとたん、児童会の子どもが「チーン」と終了のベルを鳴らしました。

オーディエンスからは嘲笑が飛び交い、

村瀬は泣きながら舞台を後にしました。

終了後、着任した教師は参加が義務、というU先生の言葉は、

真っ赤な嘘であるということも判明し、

職員室でも号泣するはめになったのでした。

 

そんな淡い思い出を浮かべながら、

今日もそれぞれの特技に見入っていました。

どの子どもも、村瀬とは違いちゃんとした特技です。

きっと、その裏側には、重ねた苦労や努力があるはずです。

披露された技はもちろんですが、

特技を身に付けるに至った、

「道のり」を称(たた)えたいと思います。

 

まぶしい子どもたちに羨望(せんぼう)の思いを抱きつつ、

明日からの放送も楽しみにしている、村瀬なのです。

 

それでは、また。