おまいだったのか・・・。
2024年10月29日 13時19分こんにちは、村瀬です。
10月も最終週となっております。
校内は運動会モードが色濃くなってきており、
なんだかワクワクした気持ちになりますね。
しかしそれに水を差すような天候の崩れっぷり。
運動場で練習したくても、
なかなかできなさそうな週間天気予報です。
恨(うら)めしそうに空を見上げる担任陣でございます。
ところで、
昨日は、担任陣が空を見上げる一方で、
防犯カメラの映像をずっと見上げている職員がおりました。
事務職員のTさんです。
Tさんには異名が多くあり、
その一つが、「名探偵T」というものです。
Tさんは、職員室で巻き起こる数々の難事件を解決しております。
先日は、とある郵便物が届いたのですが、
その送り先がどの教員か分かりませんでした。
そんなときは、名探偵Tの出動です。
「ふむふむ、この道具ですか。
確か昨日、6年陣がそれについて話し合っていましたね。
その中で、話の中心になっていたのは、
主任のK先生。
つまりこれは、K先生の物に違いありません!」
確認すると、その推理は見事に正解していたのでした。
さて、昨日に話を戻します。
実は、本校では、大変許しがたい事件が発生しておりました。
なんと、「不法投棄」です。
ビールの空き缶と、
道路に立てられている、オレンジ色のポールの一部分が、
ビニール袋に入れられて正門前に置かれていたのです。
「この神聖な学び舎(や)に対して、
なんたる行為だ!」
怒りに震(ふる)える教員たち。
「いったい誰の仕業だ!」
「ひょっとして、疲れがたまった身内の犯行では?」
「疲労困憊(ひろうこんぱい)といえば、村瀬!
村瀬に違いない!」
「そういえば、この前、
校内の掲示板に書くべき情報を、
市内の全小学校に送信したそうよ」
「ついさっきもね、
『本日のオレンジキッズ』の記事でね、
『消火器』のこと、
全部『消化器』って書いてたんですって。
A小の事務さんが呆(あき)れて電話してきたみたい。
『消化器体験』だなんて、人体実験よね」
(A小の事務さん、ご連絡ありがとうございました!)
「まじー? やばいじゃーん!
じゃあ村瀬で確定じゃん。
ストレス発散のためにやったのよ」
(え、うそ? アタシ、疑(うたが)われてる?
いや、でも、これほど意見が一致しているなら、
無意識でやってたのか?
確かに三日前も、
相方にネギ買ってきてって言われたのに、
無意識でニラ買ってしまってド叱られたばかりだしなあ。)
村瀬はあまりにも厳しい視線や意見にさらされたため、
動揺のあまり「私がやりました」と自白しそうになりました。
しかしそのとき、
「皆さん、落ちつきなさい」
というTさんの声が響きました。
「見た目も大人、頭脳も大人 名探偵T」の登場です!
村瀬は救いの神の登場に目が輝きます。
「第一発見者のU先生がブツを見たのが、
日曜日の午前9時。
そして、土曜日の夕方までは見当たらなかったことは、
Y先生の証言で明確になっている。
つまり、その間の犯行といえます」
「お~」
冷静な分析に、全員がうなります。
「その時間帯に絞(しぼ)り、
犯行現場である正門前に、
ブツを置いた人物を確認する。
それだけのことです」
「しかし名探偵T、どうやって?」
「みなさん、お忘れですか?
これの存在を!」
そう言うと名探偵Tは頭上を指さしました。
そうです。防犯カメラのモニターです。
「お~~~!」
一段と歓声がわき上がります。
名探偵Tは巧(たく)みにモニターを操(あやつ)り、
映像を犯行時刻へと遡(さかのぼ)らせていきます。
一同が固唾(かたず)を飲んで見守る中、
予想された時刻の映像に、
一瞬キラリと光るものが確認されたではないですか。
「なるほど、そういうことか・・・。
犯人が分かりましたぞ」
名探偵Tが呟きます。
「一体、誰なんですか?」
「犯人は、
タヌキです」
「なんですって?
村瀬ではなく、タヌキ?!」
「ええ。
この暗闇で反射する目、
この影の大きさ、
ブツに空けられていた穴の意味。
全てを総合すると、
タヌキが口にくわえて運んできた上、
おそらくガラクタと気付き、
ここに置いていったのでしょう」
「お~~~~~~~!」
一同は喝采(かっさい)を名探偵Tに捧(ささ)げ、
村瀬に対する謝罪はなく、
事件は幕を閉じたのでした。
一同が解散した後、
「タヌキ、おまい(おまえ)だったのか、不法投棄をしたのは」
と、ごんぎつねの登場人物「兵十(ひょうじゅう)」のようなせりふを、
村瀬はこぼしておりました。
タヌキよ、お前のせいで、
冤罪(えんざい)が発生するところだったよ。
お詫(わ)びに今度来るときは、
村瀬と名探偵Tに対して、
クリやウナギを持ってきておくれ。
「ごん」のようにさ。
決して撃(う)ったりしないからさ。
それでは、また。