優しさの汚れ。
2025年3月6日 12時30分こんにちは、村瀬です。
珍しく雨の日が続きましたね。
陽射しがないことや、外から響く子どもたちの声がないことは、
残念ではありますが、
岩手県大船渡市の山林火災にとっては、
恵みの雨になっている様子ですので、何よりです。
どうかこれ以上、被害が広がらないようにと、願ってやみません。
さて、とうとう3月に入りました。
年度末の学校の忙(せわ)しなさは、
「目まぐるしい」という言葉がふさわしいように感じます。
今週末には「6年生を送る会」が予定されており、
気持ちよく送りだそうと、門出に向けて全校が動き回っております。
もちろん6年生は言うまでもなく、
卒業に向けての日々(なんともう、9日!)を、
悔いなく過ごせるように活動しております。
学習も、まとめのシーズンとなっております。
村瀬が担当する授業についても、
いよいよフィナーレがせまっております。
社会科専攻の村瀬が、
外国語、そして途中から図画工作を担(にな)うという、
謎の二刀流でここまで突っ走ってきました。
子どもたちや保護者の皆さんの不安をひしひしと感じておりましたが、
どうにかこうにか、全ての単元を完了できそうです。
これは紛れもなく、子どもたちの優しさと努力の賜(たまもの)です。
「いいかきみたち、
授業は先生だけでつくるものじゃない。
きみたちの支えや努力があって成り立つものだ。
さあ、ともに授業を築こうじゃないか」
と、よく口にする村瀬ですが、
今年度の村瀬の授業を分析すると、
村瀬の努力と子どもたちの努力の割合は、
「3:7」、
いや「2:8」、
下手すると「1:9」かもしれません。
さらに村瀬の努力と書いたものの、
外国語については、
英語専科のS先生やALTのT先生、
図画工作については、
6年担任のF先生の支援がハンパないので、
ほとんどお三方の功績といえます。
つまるところ、村瀬は何をしていたのだろう?
ただ、そこにいただけ。
でも、そこにいただけで、授業が進むなんて、
素晴らしいことではないか!
と、開き直りたいと思います。
ところで、
「自分が汚れたとしても、誰かが喜んでくれたらいい。
面倒なことであっても、誰かの笑顔を見られたらいい」
という子が東小には多く、
4年生の子どもたちからも強く感じたということを、
前回はぶつぶつしましたが、今日はその話を。
つい昨日まで、
図画工作の最後の単元として、
「版画」の制作に取り組んでおりました。
以前にもぶつぶつしましたが、
授業の流れや彫刻刀の使い方などを師匠F先生から学び、
おかげで楽しみながら、全員が無事に版を完成させることができました。
しかし、版画はこれで完了ではありません。
版にインクを広げ、紙に写しとって初めて完成となります。
この作業が、なかなかの鬼門です。
下手したら、作品がうまく刷り上がらない、
そして、全員がインクまみれの地獄絵図となる可能性もあります。
当然のことながら、F師匠から再び指導を受け、学習です。
「
「うん・・・」
まるで自信がないなかで、いよいよ実践です。
F先生に教えられたことを子どもたちに見本として偉そうに示します。
「いいかね、きみたち、
インクはこのくらい。ローラーはこう。
紙の向きはこうで、「ばれん」はこう使う。
それで、こうして、こうして、こうして、完了。
あれ、ここをこうだったけ。
あ、ちがう、ここをこうだ。
えっと、それで、ここはこうか。
ん? ちがうか・・・。まあ、いっか。
分かった?」
「まあよくない!」
と、つっこまれながらも、
いよいよ作業開始です。
目を覆(おお)いたくなるような失敗の連続。
そんな悪夢を浮かべていましたが、
開始早々それは払拭(ふっしょく)されました。
子どもたちは村瀬のつたない説明からでも、要点をしっかりとつかみ、
見事に刷り上げていくではありませんか!
さらに嬉しかったのは、
自分の作品を完成させた子どもたちが、
次々に仲間を手伝う姿が見られたことです。
しかも、4年生、全クラスです!
作業が進むと、子どもたちの中で、次第に役割ができあがっていきます。
ある者は「店長」として、てきぱき指示を与えたり、
ある者は「職人」として、インクを練り上げたりばれんの使い方を指導したり、
ある者は「ラッピングセンター」として、
インクが付いた版を持ち帰れるよう、新聞で包んだり、
ある者は「清掃請負人」として、木くずの回収に励んだり。
うまく刷り上げられなかった友達を優しく慰める子もいたり、
使い終わったインクまみれのローラーやパレットを、
使う前よりきれいに洗ってくれる子がいたり。
素晴らしい光景でした。
3つのブースに分けて印刷していたのですが、
だんだんと競合店の様相を呈していき、
「あっちより速く上手に仕上がるよ」
「うちのインクは最高だよ」
「今ならサービスで、新聞紙二重にしてあげるよ」
と、謎の掛け声も飛び交ったり、
「うちの店長、人づかい荒(あ)らいよ・・・」
「あっちの店に転職しようかな・・・」
「ぶつぶついってないで働きなさいよ!」
といった、愚痴や叱責まで聞こえてきたりと、
実に楽しい空間でもありました。
「あの、私も何かお手伝いしましょうか?」
と、とある店長に問い掛けたところ、
「村瀬はじゃまにならないように、
教室の後ろから見てたらいいんじゃない?」
なんて、実に的確な指示までいただきました。
そんな子どもたち自身が作り上げた組織のおかげで、
全員が素敵な作品を完成させたのでした。
ただ、一つだけ問題が生じてしまいました。
人のために頑張りすぎたせいで、
インクにまみれた子どもたちが大量発生してしまったことです。
一応、「汚れてもいい服」で、というお願いはしたものの、
ここまで汚していいなんて、きっとお家の方は思ってないぞ、
というレベルの汚し方をしている子が多すぎました。
4年生保護者の皆様、
誠に申し訳ありませんでした。
しかしこの汚れは、友達を想った「優しさの汚れ」でございます。
子どもたちだけでなく、
村瀬も買ったばかりのジャージを汚して、
相方にこっぴどく叱られました。
それに免じて、どうぞお許し願えませんでしょうか?
それでは、また。