お宝探し。〜前編〜
2023年10月13日 12時38分こんにちは、村瀬です。
本日は2年生が名古屋港水族館にお出かけです。
絶好の校外学習日和で何よりです。
普段なかなか外に出させてもらえない、
教頭先生が引率者に加わっておりました。
多忙極まりない教頭先生には、
子どもたちと一緒に、
シャチやイルカに癒(いや)されてきてほしいと願っております。
さて、昨日の話です。
修学旅行明け、授業がなく、
ぽけーっと外を見ながらあくびばかりしていた村瀬に、
特別なミッションが与えられました。
それは、
「運動場に埋まる不要で危険な金属物を探し出し、
それを撤去することで子どもたちの安全を守る」
というものです。
ご存じの方も多いでしょうが、
地中から出ていた金属片により怪我をしてしまう、
という事故が相次ぎました。
そこで、子どもたちが運動場で安全に活動できるよう、
日進市では各学校で同じようなミッションが行われることとなりました。
土中に埋まる金属たちを見つけるのは、
眺めるだけでは不可能です。
そこで、秘密兵器「金属探知機」の登場です。
日進市からレンタルしたそれを活用し、
運動場の隅々まで探索(たんさく)します。
しかし、一人ではさみしいので、
職員室にたまたまいた、K先生を道連れにすることにしました。
二人で探知機を手に運動場の隅に立ち、いよいよスタートです。
左右に探知機をふりふりして、ゆっくり歩み始めます。
二人の息が合わないと、探知機同士が反応し合い、
「ピーピー」鳴ってしまいます。
歩幅、振り幅、左右のリズム、次第にシンクロし始めます。
ゆっくりと探知機で探索するその姿はまるで、
「PKO(国連平和維持活動)」で見られるそれです。
もちろん、事の重大さは比べるまでもありませんが、
子どもたちの安全で平和な暮らしを守るため、
という意味合いでは、同列の作業と言えるのかもしれません。
勝手にK先生を隊長に祭り上げ、任務を進めます。
村「隊長、なかなか鳴りませんね。
ひょっとすると、夏休みの炎天下で、
先生たちが頑張って抜いてたから、
もうないんじゃないですかね?」
K「ないならないでいいではないか!
しかし、万が一ということもある。
子どもたちの安全を守るためだ!
1秒たりとも気を抜くんじゃない!」
村「はっ! 大変失礼致しました!」
なんて会話をしている矢先、
K隊長の探知機から「ピッピーピッピー」と音が響きます!
村「隊長! これは、まさか・・・」
K「とうとう、この時がきたか!
村瀬、掘るぞ!」
村「はっ!」
大の大人二人が頭を寄せ合い、
小さなスコップでホリホリしている姿は、
滑稽(こっけい)に見えたかもしれません。
が、二人は真剣です。
しばらく掘ると、しっかりと金属片が現れたではありませんか!
村「隊長、やりました!」
K「うむ。これで危険が一つ去った。
我々の努力で、子どもたちの安全が少しずつ高まっていくのだ。
村瀬、分かったか!」
村「はっ! 村瀬、隊長にどこまでもついて行きます!」
その後、何度もK隊長の探知機が音を鳴らし、
その都度、ホリホリしていきます。
時折、誤報もありましたが、
土が流れ、表出したら間違いなく危険な金属片がいくつもありました。
しかし、どういうわけか、
発見するのは、K隊長ばかりで、村瀬の探知機は、一向に音を鳴らしません。
村「隊長!
私の探知機が反応しないのはなぜでありますか?
私も、発見してみたいのであります!」
K「バカもん!
どちらが発見したかは問題ではない!
撤去することが我々の任務なのだ!
そういう雑念が探知機を狂わせておるのだ!」
村「はっ! すみませんでした!
これより村瀬、修学旅行の座禅体験で学んだ、
『無』の精神で励みます!」
少しして判明したのですが、
村瀬の探知機が反応しなかったのは、
精神の問題ではなく、機械上のトラブルだったのでした。
途中から、一台を交代しながら探索活動を続けました。
清掃の時間や放課の時間も行っていましたので、
不思議な光景を目にして、子どもたちがやってきます。
そして、K隊長に質問しました。
子「先生たち、何してるの?」
K隊長はこう答えます。
K「土の中に危険な物がないか調べているんだよ。
君たちが怪我をしないようにね」
子「ふーん、ありがとー」
村瀬にも子どもが質問します。
子「村瀬、何やってるの?」
村瀬はこう答えます。
村「お宝探しさ。
大判小判が、ザックザクさ」
子「うそつけ」
K隊長の誠実な答えからか、村瀬の夢のある答えからか、
低学年の男の子が、
「ぼく、誕生日プレゼントにそれ買ってもらお」
と、言っていました。
もしもご家庭で金属探知機をおねだりされたのなら、
そういう理由でございます。
なんだかんだと、2時間以上の時間を費やした後、
運動場の3分の2の探索が終了しました。
残すは、バスケットコート及び「あしがら山」周辺ですが、
忙しいK隊長はここまでです。
村「K隊長! ここまでありがとうございました!
隊長から学んだことは、一生忘れません!」
K「うむ、よくやったぞ、村瀬よ。
もうお前は一人前の隊員だ。
ここからは、お前に任せたぞ!」
村「隊長〜!」
K隊長との涙涙の別れをした後、
村瀬は一人、残された運動場と向き合うのでした。
ということで、続きは「後編」で。
それでは、また。