東の方でぶつぶつぶつ・・・

見守るということ。

2024年6月24日 15時11分

こんにちは、村瀬です。

6月も最終週を迎えております。

今週の天気予報は雲と傘がずらりと並ぶ、

梅雨らしい天候が続くようです。

 

昨日もぐずついた天候でしたね。

村瀬は目覚めとき、

カーテンをオープンして外の様子を見るようにしています。

昨日もいつもと同じように外を見ると、

灰色の空が広がっておりました。

「おお、空よ、お前もか。

 わしもどんよりしておるのだよ。

 そんなときは、そう、休むにかぎる。

 よし、今日は布団から一歩たりとも出るものか」

と決意し、カーテンを閉じようとしました。

そのとき、視界を横切るものが現れました。

ツバメです。

それも、3羽続けて。

そのうち2羽は、最初に横切った個体より小さく見えました。

きっと、親子に違いありません。

ひょっとすると、

「巣立ち」のときだったのかもしれません。

 

もうご覧になられた方もいらっしゃるでしょうが、

オフィシャルページ「本日のオレンジキッズ」で記したように、

本校の某場所にも現在、ツバメが巣を作り、子育てに励んでいます。

気付いたのは、音楽専科のS先生です。

S先生は、親鳥が巣を作り始めた頃から今日に至るまで、

日夜見守り続けています。

もしもヒナが巣から落ちてしまったら、

という万が一の事態にそなえ、その対応を調べるなど、

本腰を入れてツバメ家族を見守ってくださっています。

先日、S先生に案内をしてもらったのですが、

「ツバメの巣はどこー?

 わー、ほんとだー。あんなところにあるー。

 ツバメは中にいるのー? あれーいないのかなー?」

などと、

S先生が物音を立てない努力をしている一方で、

村瀬一人で騒いでしまったものですから、

危険を感じたのでしょう、

巣から親鳥が飛び立ってしまいました。

呆れ果てたS先生なのでした。

 

もう何十年も前のことになりますが、

村瀬家の軒下(のきした)にも、

ツバメの巣ができたことがありました。

母村瀬は巣の下が汚れることにぶつぶつ言っておりましたが、

少年村瀬は大喜びです。

巣作りは順調に進行し、

やがて、チーチーチーとヒナたちがエサを求めるようになりました。

少年村瀬は興奮します。

何かの映像で見たように、親鳥がヒナにエサを与える瞬間が見たい。

そんな思いで巣のそばで待ち構えていましたが、

一度たりともやってくることはありませんでした。

ただ、そばの電線に停まって、

こちらの様子をうかがっていることはありました。

警戒してのことでしょう。

ヒナたちのチーチーチーは、

「トーチャンカーチャンオナカスイタヨー」

というよりも、

「ムラセジャマダヨドッカイケー」

だったのだろうと、今は思います。

 

餌付けをする瞬間は一度も見ることはできませんでしたが、

少年村瀬は幸運にも、巣立ちの瞬間を目にすることができました。

公園に遊びに行き、帰宅したときのことです。

巣のへりに3羽のツバメが足をかけていることに気づきました。

少年村瀬は少しだけ学習し、

これはそばに寄りすぎてはいけないだろうと、

「張り込み」をする刑事のように、

離れたところから、じっと見守っていました。

少しして、

見守っているのは、少年村瀬だけではないことが分かりました。

そばの電線に、親鳥が停まっていたのです。

幼いなりにも、その姿に感動を覚えました。

へりの上で、何度も羽をばたつかせるヒナたち。

かなりの時間、その様子が続きましたが、

ある瞬間に1羽が思い切って飛び立ち、

他の2羽がそれに続きました。

その後、親鳥とすぐに合流し、

4羽そろって飛び去っていったのでした。

 

その光景は、

少年から中年へと変貌(へんぼう)を遂(と)げてしまった今でも、

村瀬の宝物となって胸の内にあります。

ただ、かつてはヒナたちが飛び立つ姿が輝いていましたが、

現在は、電線に停まっていた親鳥の姿に眩(まぶ)しさを覚えます。

それはきっと、

学校という場所において、親代わりの立場にいるから、

そして、

村瀬自身も親になったからでしょう。

 

子どもが幼い頃は手取り足取り支える必要があります。

しかし、いつまでも、手をつないでいるわけにはいきません。

ツバメが自分の羽で空をかき、巣立ちのときを迎えるように、

子どももやがては「自立」をして、社会に巣立つ必要があるからです。

手を出さず、「見守る」ということが、

口で言うほど簡単なことではないことは、

子どもを支える立場の人なら、きっと誰でも理解できると思います。

失敗してほしくない、傷ついてほしくない。

そう願うのが親心なのでしょうが、

いつでも先回りして、安全な道を用意していては、

「自立」することが困難になってしまいます。

失敗することでしか、

傷を負うことでしか、

学べないこともたくさんあります。

 

いつまで、どこまで、

手を出すか、口を出すか、

教員としても、親としても迷い続けている村瀬です。

でもきっと、村瀬だけでなく、

多くの教員が、多くの保護者の方が、

同じように悩んでいるのだと感じます。

「親鳥」仲間として、

みんなでヒナたちのことを考え、見守っていけたらと願います。

 

すみません。

ツバメへの想い入れが強すぎて、

ついつい長々とぶつぶつしてしまいました。

最後に、

「ツバメが巣をかける家は縁起がよい」

と、昔から言い伝えがあります。

家ではないのですが、

きっと学校にとってもよいことがあるに違いありません。

 

それでは、また。