東の方でぶつぶつぶつ・・・

裏・修学旅行放浪記6〜幸せのクローバー〜

2024年10月16日 14時49分

こんにちは、村瀬です。

現在、最後の休憩地、土山サービスエリアを過ぎたところです。

どうにか全員が無事に帰宅の途に着くことができそうです。

帰り道はなぜだかスイスイと進んでいます。

清水寺に着くまでは、ひょっとしたら帰着時間が30分以上遅れるかも、

と、ソワソワしていたのが嘘みたいです。

 

清水寺そばのバス専用駐車場に向かう道は大渋滞でした。

このままでは、昼食時間が30分以上遅れ、

その後のスケジュールも大幅に変わり、

下手したらお土産を買う時間がなくなり、

子どもたちにより暴動が起こりかねない状況でした。

しかしまあ、渋滞から抜ける手はありません。

ノロノロ進むバスの中、

担任のT先生が、車内の緊迫した空気を緩和させるために、

京都で活躍するタクシー会社の話をしました。

 

とある会社が所有するタクシーは、

通常、「三つ葉」のクローバーが、

車体の上の行灯(あんどん・光る部分)やボディーに飾られているのですが、

約1300台のうち、わずか4台だけ、

幸運のシンボルである「四つ葉」となっているそうです。

それを見かけたら幸せになれるんだよ、と、

T先生が紹介したところ、

子どもたちは車窓から懸命にタクシーを探し始めました。

三つ葉は何台か通ったのですが、

さすがに見つかるわけもありません。

村瀬はこの話、随分前から知っていて、

京都に行く度にキョロキョロ探してはいるのですが、

一度たりとも見かけたことがありませんでした。

 

まあ見つからなくても、

これで子どもたちの気持ちをそらせられるならよいか、

と村瀬は適当に車外を眺めていました。

すると、

「あ、あれ!」

と、T先生が声を上げるではありませんか。

それとほぼ同時に、養護教諭のN先生も、

「あれ、そうじゃないですか?!」

と、興奮気味に声を上げました。

T先生とN先生は二人で、

「あれ、四つ葉でしたよね? そうでしたよね?」

と、興奮して大変嬉しそうに確かめ合い始めました。

子どもたちは、

「え? どこ? いないじゃん」

「私も見たい! 先生たちだけずるい!」

「T先生が言ってるから、うそでしょ」

「でもN先生も見たって言ってるから、ほんとじゃない」

「いや、N先生もきっとグルなんだよ」

と、口々にブーブー言い始めました。

村瀬も、

「そうだそうだ、2人で我々を騙してるんだ!」

と、見られなかった悔しさから子どもたちに同調し、

ブーブー言い始めました。

その結果、村瀬とT先生、N先生との溝が深まり、

最終的には3号車を追い出され、4号車に追いやられる運びとなったのでした。

 

今でも二人に対する疑念は消えませんが、

四つ葉のクローバーの目撃情報があってから、

渋滞が解消し、どうにか予定通りに行程をこなすことができたのも事実です。

傘マークが付いていた天気予報にも関わらず、雨の被害はほぼなく、

さらにはこの帰り道のスイスイっぷり。

恐るべし、四つ葉のクローバーパワー!

あの二人、本当のことを言っていたのかな。

そう反省している、村瀬です。

そうこうぶつぶつしているうちに、愛知県に入りました。

残り1時間足らずで学校です。

学校に着いたらまずは二人にごめんねと言おう。

そう決意している、村瀬です。

 

それでは、また。