裏・修学旅行放浪記6〜幸せのクローバー〜
こんにちは、村瀬です。
現在、最後の休憩地、土山サービスエリアを過ぎたところです。
どうにか全員が無事に帰宅の途に着くことができそうです。
帰り道はなぜだかスイスイと進んでいます。
清水寺に着くまでは、ひょっとしたら帰着時間が30分以上遅れるかも、
と、ソワソワしていたのが嘘みたいです。
清水寺そばのバス専用駐車場に向かう道は大渋滞でした。
このままでは、昼食時間が30分以上遅れ、
その後のスケジュールも大幅に変わり、
下手したらお土産を買う時間がなくなり、
子どもたちにより暴動が起こりかねない状況でした。
しかしまあ、渋滞から抜ける手はありません。
ノロノロ進むバスの中、
担任のT先生が、車内の緊迫した空気を緩和させるために、
京都で活躍するタクシー会社の話をしました。
とある会社が所有するタクシーは、
通常、「三つ葉」のクローバーが、
車体の上の行灯(あんどん・光る部分)やボディーに飾られているのですが、
約1300台のうち、わずか4台だけ、
幸運のシンボルである「四つ葉」となっているそうです。
それを見かけたら幸せになれるんだよ、と、
T先生が紹介したところ、
子どもたちは車窓から懸命にタクシーを探し始めました。
三つ葉は何台か通ったのですが、
さすがに見つかるわけもありません。
村瀬はこの話、随分前から知っていて、
京都に行く度にキョロキョロ探してはいるのですが、
一度たりとも見かけたことがありませんでした。
まあ見つからなくても、
これで子どもたちの気持ちをそらせられるならよいか、
と村瀬は適当に車外を眺めていました。
すると、
「あ、あれ!」
と、T先生が声を上げるではありませんか。
それとほぼ同時に、養護教諭のN先生も、
「あれ、そうじゃないですか?!」
と、興奮気味に声を上げました。
T先生とN先生は二人で、
「あれ、四つ葉でしたよね? そうでしたよね?」
と、興奮して大変嬉しそうに確かめ合い始めました。
子どもたちは、
「え? どこ? いないじゃん」
「私も見たい! 先生たちだけずるい!」
「T先生が言ってるから、うそでしょ」
「でもN先生も見たって言ってるから、ほんとじゃない」
「いや、N先生もきっとグルなんだよ」
と、口々にブーブー言い始めました。
村瀬も、
「そうだそうだ、2人で我々を騙してるんだ!」
と、見られなかった悔しさから子どもたちに同調し、
ブーブー言い始めました。
その結果、村瀬とT先生、N先生との溝が深まり、
最終的には3号車を追い出され、4号車に追いやられる運びとなったのでした。
今でも二人に対する疑念は消えませんが、
四つ葉のクローバーの目撃情報があってから、
渋滞が解消し、どうにか予定通りに行程をこなすことができたのも事実です。
傘マークが付いていた天気予報にも関わらず、雨の被害はほぼなく、
さらにはこの帰り道のスイスイっぷり。
恐るべし、四つ葉のクローバーパワー!
あの二人、本当のことを言っていたのかな。
そう反省している、村瀬です。
そうこうぶつぶつしているうちに、愛知県に入りました。
残り1時間足らずで学校です。
学校に着いたらまずは二人にごめんねと言おう。
そう決意している、村瀬です。
それでは、また。