東の方でぶつぶつぶつ・・・

ごめんね、いいよ。

2025年6月24日 16時33分

こんにちは、村瀬です。

梅雨空が続いています。

東小の豊富な緑たちがとても嬉しそうに濡れております。

ますますモジャモジャになっていくこと、必定でしょう。

まあ、それはそれで、真っ当な季節の流れということでよしとします。

 

こういう鬱々(うつうつ)とした気候が続くと、

人の気持ちにも影がかかりやすいようです。

学校関係者の間では、

『魔の6月』

という言葉を耳にする機会が多くあります。

様々なトラブルが6月に起こりやすいことから、生まれた言葉でしょう。

学校や学年にも慣れ、

心を一つにして臨(のぞ)まなければならないような大きな行事もない、

そんな時期だから心がどこか浮(うわ)ついてしまい、

トラブルにつながってしまう、という流れが「6月あるある」です。

この気候も、その流れを強くする要因なのではないかと思います。

 

先週の大放課のことです。

村瀬がフラフラ校舎を徘徊(はいかい)していると、

騒いでいる低学年ボーイたちを目撃しました。

どうやら、もめているようです。

村瀬は仲裁(ちゅうさい)のため、間に入ります。

「ふむふむ、Aくんの言い分は分かった。

 Bくん、どうだね?

 なるほど、そういう気持ちだったんだね。

 ではBくん、どこがいけなかったのだろう?

 そうだね、きっとそこだろうね」

今回のトラブルは、Bくんが引き金をひいた様子でした。

「さてBくん、どうしようか?」

するとBくんはすぐ、

「ごめんね」

と言葉にしました。

言われたAくんもすぐ、

「いいよ」

と返しました。

昼放課には、二人が笑って一緒に過ごしている姿。

ああ、いいよなあ、としみじみ二人を見ていた村瀬です。

 

すぐに非を認め、

「ごめんね」と謝罪できる姿勢も大変立派です。

そしてまた、

「いいよ」とそれを受け入れて許す、「寛容(かんよう)」の心に、

尊敬の念を覚えます。

 

歩みを進めていれば、

過(あやま)ちを犯(おか)してしまうことも少なくないでしょう。

自分が意図しなくても、

時に加害者になり、時に被害者になる場合も残念ながらあることです。

そんなとき、

AくんやBくんのようになれるだろうか。

幼(おさな)い頃はできていた気がするのに、

歳を重ねるとなかなかそうはいかなくなるのはどうしてか。

二人のやりとりを眩しく感じるとともに、

日々の自分の行動や言動を反省した村瀬です。

 

ご存じのように、

世界は今、危機的な状況を迎えています。

このままでは、日本を含め、

世界中を巻き込む大きな争いが起きてしまうのではないか。

ニュースを見ていると、そんな不安が日々膨らんでいきます。

もしもあの国やこの国の指導者が、

AくんとBくんのやりとりを見たら、

少しは気持ちを入れ替えてくれるでしょうか。

「いや、しかし、元はといえば・・・」

「でも、大体、あっちの方が・・・」

なんて、言葉がすぐに飛んできそうな気もします。

世界なんて大きな舞台はとりあえず置いておき、

まずは自分の周りから。

そのためには、自分から。

「一隅(いちぐう)を照らす」ように、

それぞれの場所で「素直さ」と「寛容さ」が広がれば、

少しはおだやかな世界が戻ってくるかもしれません。

 

さて、2人のやり取りを見た後の、

週末の村瀬家の話です。

一週間、何もしていないくせに疲れ果てた父村瀬は、

風呂上がり、冷蔵庫を開けます。

頑張った自分へのご褒美として、

前週に買っておいたコンビニデザートを、

頑張っていないくせに食べるためです。

「はて、おかしいな。

 ここに置いておいた、

 期間限定びわゼリーが見当たらぬ。

 皆の者、知らぬか?」

すると息子まいける(通称)が答えます。

「父上、

 それは、びわの実が3つ入ったものでござるか。

 拙者(せっしゃ)が昨日おいしくいただきましたが」

「むむむ、マイケル!

 なんたる、なんたることを!

 父はそのためだけに一週間生きておったのに。

 ええい、表へ出よ!」

「これは父上、

 何も知らぬとはいえ、

 誠に申し訳のうございました」

まいけるが珍しく、素直に謝りました。

Bくんの姿が浮かびます。そして、Aくんの姿も。

「むむむむむ・・・。

 来年までもう食べられぬものであるが、

 ゆ、許してつかわそう。

 以後、びわゼリーを見かけたら手を出さぬように」

「ははっ」

「しかたない、

 ここは気持ちを切り替えて、

 先々週に買っておいた、

6粒(つぶ)入りのチョコバニラアイスを楽しむとしようかの。

どうじゃまいける、

そちにも分けてやろうではないか。

これで和解じゃ。

寛容な父でよかったのお。はっはっは」

「あいや、父上、

 それは三日前に、いただきました」

「おのれ、おのれまいける!

無礼千万(ぶれいせんばん)な息子め!

 許さぬ! 許さぬぞ!」

あっさり寛容の精神が飛び立ってしまいました。

許すって難しいな。

でも、めぜずに頑張るよ。

そうAくんBくんに誓った父村瀬なのでした。

 

それでは、また。