ごめんね、いいよ。
こんにちは、村瀬です。
梅雨空が続いています。
東小の豊富な緑たちがとても嬉しそうに濡れております。
ますますモジャモジャになっていくこと、必定でしょう。
まあ、それはそれで、真っ当な季節の流れということでよしとします。
こういう鬱々(うつうつ)とした気候が続くと、
人の気持ちにも影がかかりやすいようです。
学校関係者の間では、
『魔の6月』
という言葉を耳にする機会が多くあります。
様々なトラブルが6月に起こりやすいことから、生まれた言葉でしょう。
学校や学年にも慣れ、
心を一つにして臨(のぞ)まなければならないような大きな行事もない、
そんな時期だから心がどこか浮(うわ)ついてしまい、
トラブルにつながってしまう、という流れが「6月あるある」です。
この気候も、その流れを強くする要因なのではないかと思います。
先週の大放課のことです。
村瀬がフラフラ校舎を徘徊(はいかい)していると、
騒いでいる低学年ボーイたちを目撃しました。
どうやら、もめているようです。
村瀬は仲裁(ちゅうさい)のため、間に入ります。
「ふむふむ、Aくんの言い分は分かった。
Bくん、どうだね?
なるほど、そういう気持ちだったんだね。
ではBくん、どこがいけなかったのだろう?
そうだね、きっとそこだろうね」
今回のトラブルは、Bくんが引き金をひいた様子でした。
「さてBくん、どうしようか?」
するとBくんはすぐ、
「ごめんね」
と言葉にしました。
言われたAくんもすぐ、
「いいよ」
と返しました。
昼放課には、二人が笑って一緒に過ごしている姿。
ああ、いいよなあ、としみじみ二人を見ていた村瀬です。
すぐに非を認め、
「ごめんね」と謝罪できる姿勢も大変立派です。
そしてまた、
「いいよ」とそれを受け入れて許す、「寛容(かんよう)」の心に、
尊敬の念を覚えます。
歩みを進めていれば、
過(あやま)ちを犯(おか)してしまうことも少なくないでしょう。
自分が意図しなくても、
時に加害者になり、時に被害者になる場合も残念ながらあることです。
そんなとき、
AくんやBくんのようになれるだろうか。
幼(おさな)い頃はできていた気がするのに、
歳を重ねるとなかなかそうはいかなくなるのはどうしてか。
二人のやりとりを眩しく感じるとともに、
日々の自分の行動や言動を反省した村瀬です。
ご存じのように、
世界は今、危機的な状況を迎えています。
このままでは、日本を含め、
世界中を巻き込む大きな争いが起きてしまうのではないか。
ニュースを見ていると、そんな不安が日々膨らんでいきます。
もしもあの国やこの国の指導者が、
AくんとBくんのやりとりを見たら、
少しは気持ちを入れ替えてくれるでしょうか。
「いや、しかし、元はといえば・・・」
「でも、大体、あっちの方が・・・」
なんて、言葉がすぐに飛んできそうな気もします。
世界なんて大きな舞台はとりあえず置いておき、
まずは自分の周りから。
そのためには、自分から。
「一隅(いちぐう)を照らす」ように、
それぞれの場所で「素直さ」と「寛容さ」が広がれば、
少しはおだやかな世界が戻ってくるかもしれません。
さて、2人のやり取りを見た後の、
週末の村瀬家の話です。
一週間、何もしていないくせに疲れ果てた父村瀬は、
風呂上がり、冷蔵庫を開けます。
頑張った自分へのご褒美として、
前週に買っておいたコンビニデザートを、
頑張っていないくせに食べるためです。
「はて、おかしいな。
ここに置いておいた、
期間限定びわゼリーが見当たらぬ。
皆の者、知らぬか?」
すると息子まいける(通称)が答えます。
「父上、
それは、びわの実が3つ入ったものでござるか。
拙者(せっしゃ)が昨日おいしくいただきましたが」
「むむむ、マイケル!
なんたる、なんたることを!
父はそのためだけに一週間生きておったのに。
ええい、表へ出よ!」
「これは父上、
何も知らぬとはいえ、
誠に申し訳のうございました」
まいけるが珍しく、素直に謝りました。
Bくんの姿が浮かびます。そして、Aくんの姿も。
「むむむむむ・・・。
来年までもう食べられぬものであるが、
ゆ、許してつかわそう。
以後、びわゼリーを見かけたら手を出さぬように」
「ははっ」
「しかたない、
ここは気持ちを切り替えて、
先々週に買っておいた、
6粒(つぶ)入りのチョコバニラアイスを楽しむとしようかの。
どうじゃまいける、
そちにも分けてやろうではないか。
これで和解じゃ。
寛容な父でよかったのお。はっはっは」
「あいや、父上、
それは三日前に、いただきました」
「おのれ、おのれまいける!
無礼千万(ぶれいせんばん)な息子め!
許さぬ! 許さぬぞ!」
あっさり寛容の精神が飛び立ってしまいました。
許すって難しいな。
でも、めぜずに頑張るよ。
そうAくんBくんに誓った父村瀬なのでした。
それでは、また。