東の方でぶつぶつぶつ・・・

谷間の日。

2023年5月2日 16時21分

こんにちは、村瀬です。

今日は運動場から、

「9秒2」「10秒3」「8秒6」

といった、時を告げる叫び声がよく聞こえてきました。

運動をするにはちょうどよい気候でしたね。

 

1年生はアサガオの種を植えていました。

その姿を見ていて、

先日畑にホウセンカの種を植えたことを思い出し、

あわてて水をあげていた村瀬です。

 

さて世間では、

「ゴールデンウィーク」まっただ中なのでしょうか。

それとも学校と同じように、

カレンダー通りのスケジュールで動いている方が多いのでしょうか。

きっと連休の谷間ということからでしょう、

どことなくそわそわしていたり、

ぽけーっとしていたりする子が多かったように見えました。

いえ、子どもだけではありません。

先生たちの中にも、

魂(たましい)が抜けていそうな方が見受けられました。

その筆頭は、村瀬だったでしょう。

気を抜くと、口が開き、白目をむいておりました。

授業はどうにか気合いでやり抜いたのですが、

事務仕事はすっかり滞ってしまい、

こうしてぶつぶつに逃げている次第です。

 

昨日、今日の2日間、

授業後は家庭・地区確認へと担任の先生方が向かっております。

一昔前までは「家庭訪問」ということで、

各家庭にお邪魔して保護者の方とお話をしていたものでした。

かつて本校で担任をしていたとき、

「40人学級」を受け持ったことがありました。

4日間で40人ということで、

少しの遅れも許されず、

休むことなくひたすら家から家へと駆け抜け、

しゃべり続けたことを懐かしく思います。

 

翌年、

へとへとになった経験をクラスの子どもたちに話し、

そのついでにこんな提案をしてみました。

「いいかね、きみたち。

 何人も続けて話すとなると、

 のどがカラカラになるのは分かるだろう?

 そうなってくると、

きみたちのことを褒(ほ)め称(たた)えたくても、

うまくいかないものだ。

そうだねえ、3軒目くらいでのどが潤(うるお)えば、

 調子よく訪問を続けられるにちがいない。

 今日の3軒目は、Aくんの家だね。

 そこで、よく冷えた物が出てくるといいのだがね。

 できたら、色が黒くてシュワシュワしている飲み物があれば、

 3倍は褒められるだろうね。

 ところで6軒目あたりになると、

 こんどは小腹が空いてくだろう。

そこで、何かが体内に入ると、

もうひと頑張り、と思えるにちがいない。

今日の6軒目は、Kくんの家だね。

そこで、糖分がとれたら、

6倍は良いことが言えるだろうね。

 どれどれ、今日は11軒か。

最後の方には、お腹がぺこぺこになるだろう。

9軒目のHさんの家あたりで、

 チュルチュルと吸い込める物が出てくると素敵だね。

楽しみにしているよ。はっはっは」

 

そりゃ、もちろん、本気なわけないですよ。

子「村瀬、めちゃくちゃなこと言ってやがらあ」

村「冗談、冗談。てへへへ」 

なんて感じで、みんなで大笑いして、授業を終えましたよ。

 

しかし、その後、驚愕(きょうがく)の家庭訪問が幕を開けたのです。

3軒目で、黒くてシュワシュワした飲み物が提供されました。

というより、1軒目から黒くてシュワシュワした飲み物が出てきました。

それどころか、何軒ものご家庭に用意されていました。

「ごめんなさい、村瀬。

 うちには黒くてシュワシュワする物はないから、

 代わりにこちらを飲んでください」

と、グレープ色のシュワシュワした飲み物を注いでくれた家もありました。

潤されるどころか、

数件でお腹はたぷたぷです。

6軒目で、季節にちなんで柏(かしわ)もちが3つ提供されました。

「村瀬、遠慮しないで。

 残さないで。

全部食べてって」

と、ぐいぐい推(お)されたので、ぐいぐい口につめ込みました。

それだけでお腹はぽんぽんです。

この流れ、ひょっとすると、ひょっとするぞ・・・。

戦々恐々としながら9軒目を訪れると、

「○子がどうしても作れって言ったから作ったけど、

 村瀬、ほんとにそんなこと言ったの?」

と、訝(いぶか)しげにお母様がどんぶりを運んできました。

そこにはポニョ(ジブリ作品より)が好きそうな、

ハム入りの塩ラーメンが湯気を立てていたのでした。

「ええ、まあ、一応・・・」

そう言って、次の家庭に遅れないよう慌てて麺(めん)をすすりながら、

「いやあ、ズルズルズル、

○子さん、スルズルズル、

がんばってますよお、ズルズルズルズルズル」

と、失礼極まりない訪問と成り果てたのでした。

 

そんな無礼者でも許してくれた、

懐の深い東小の保護者のみなさんの笑顔を思い出している、

連休の谷間の村瀬です。

明日から長い休みが始まります。

1年生をはじめ、

新しい環境の中で精一杯毎日を過ごし、

疲れがたまっている子どもも多いかと思います。

ここまで歩んできた子どもたちは、

どの子もみんな、本当に立派に感じます。

子どもたちだけでなく、きっと保護者のみなさんの中にも、

新年度を全力で駆け抜けた人も多くいることでしょう。

この連休が、

子どもたち、保護者のみなさんにとって、

少しでも心安まる日々となるよう、願っています。

 

それでは、また。