姉妹校。
2023年6月16日 17時02分こんにちは、村瀬です。
今日は朝からさわやかな青空が広がっていまいした。
少し暑さは感じましたが、
金曜日ということも手伝ってか、
元気にあいさつをしてくれる子どもが多く、
気持ちのいいスタートを切ることができました。
一方昨日は、朝からいらいらしておりました。
というのも、
招かれざる客が、
たえ間なく職員室の村瀬の席に訪れていたからです。
彼らは、
網戸の小さな隙間をくぐり抜け、
次々にやってきました。
目の前を横切るわ、
耳の中に入ろうとするわ、
もう、やりたい放題です。
思わず、
「ああ、もう!」
と、吠えてしまいます。
彼らの名前は、
「キノコバエ」
村瀬はよく知っています。
なぜなら、
前任校のA小学校でも、悩まされていたからです。
この名前も、
A小学校の元PTA会長に教わりました。
6月の雨上がり、
大量に発生して、
各教室に遠慮なく入り込み、
思い切り授業を妨げるという日が、
年に1、2日必ずあったものです。
どうも学区全体で発生するそうです。
そうか、A学区の名物なんだなあ、
だったらいっそのこと、
PTA通信のタイトルを、
「キノコバエ」
にしたらどうですか、と提案したところ、
却下されたことは、いい思い出です。
学校を異動し、
彼らとの縁が切れて喜んでいたのですが、
この様(ざま)です。
「なぜきみたちまでここにいるのだ?
教育委員会から辞令はでたのかい?
でてないだろ。
転出届を市役所に提出したかい?
してないだろ。
それならさっさとA小学校に戻りなさい。
私より面倒見のいい、
Y先生やI先生のもとに帰りなさい」
と、語りかけても無視しされ続け、
なんなら数を増していく始末。
「ああ、もう!
ひょっとして耳元でぷーんと音をならすのは、
愛をささやいている、ということなのかね。
しかし、申し訳ないがね、
私はきみたちから好かれても、
ちっとも嬉しくないのだよ。
私はね、人々から好かれたいのだよ。
まあ、肝心の人々は、
離れていく一方だがね!
ああ、もう!」
そうこうしていると、
村瀬と同じようにいらいらしながら、
職員室に戻ってきた先生がいました。
1年生担任のI先生です。
聞けば、教室にキノコバエたちが来襲しているとのこと。
頭から湯気が沸いています。
村瀬は同志を見つけた気分で、喜んでしまい、
キッと睨(にら)まれました。
「おい、きみたち。
I先生の形相(ぎょうそう)を見ただろ。
私でも命の危険を感じたぞ。
それに、ほら、手にスプレーを持って出て行った。
これは、きみたち、非常にまずい。
さあ、早く、A小学校に帰ったほうがいい」
その言葉が響いたのか、
I先生に恐れおののいたのか、
午後にはほとんど訪れなくなったのでした。
村瀬がキノコバエ一族を引き連れてきてしまったのかと、
少しだけ不安がよぎりましたが、
聞けば、東小学校でも恒例行事だとのこと。
考えてみれば、
A小学校と東小学校は、
共に緑豊かな環境です。
へびさんがにょろにょろしているところも、
はちさんがぶんぶん飛んでいるところも、
かなへびさんを捕まえまくる子どもたちがたくさんいるところも、
よく似ています。
これはもう、「姉妹(しまい)校」ですね。
創立年数から言えば、「母娘(ははこ)校」と言った方がいいですが、
言いづらいので、「姉妹校」にしておきましょう。
どちらの学校の子どもたちも、
緑の中で、のびのびと、大らかに育ってほしい。
キノコバエと戯(たわむ)れながら、
そんなことを考えていた村瀬なのでした。
それでは、また。