終わった…。
2023年1月11日 18時00分こんにちは、村瀬です。
朝の冷え込みと打って変わり、
日中は暖かな陽が差し込んでいましたね。
明日も、朝こそ冬らしい気温のようですが、
昼中は春らしい気候となるようです。
明日は、待ちに待ったジブリパーク。
天候に関係なく決行ですので、
日付が決まった日から、
「村瀬、ついてくる気なのか?」
「村瀬は留守番しといた方がいいんじゃない?」
「村瀬だけ東京のジブリ美術館行ったら?」
と、隣の席のY先生をはじめ、
多くの教員陣から攻撃を受けていました。
「いーやーだ、いーやーだ!
ぼーぐーもーいーぎーだーい!」
と、涙を流し駄々をこねながら訴えたところ、
「じゃあ、本気出さずについていきな」
と、どうにかこうにか許可が下りました。
意味が分からないプレッシャーの下、
週間天気予報と日々にらめっこしておりましたが、
どうやら、晴天確定!
「雨男」という肩書が、
後厄と共にとうとう去ってくれたに違いありません。
しかし、当日本気を出してノリノリで見学してしまい、
急な突風や豪雨に見舞われないよう、
やる気を前面に出さず、
鼻をほじり、口笛を吹きながら巡りたいと考えております。
さて、世の中は、
そんなルンルンランランなことばかりではありません。
というのも、
本日は、2年生から6年生が、学力テストを受けたのでした。
二時間にわたる長丁場を終え、
何人もの子どもたちが気を失いかけながら、廊下を漂っていました。
「終わった…」
と、廊下に横たわる少年も見かけました。
その言葉には二重の意味が込められていることが、
少年の様子から手に取るように分かります。
村瀬も今まで、何度呟いたことでしょう。
村瀬が高校2年生の頃の話です。
夏休み明け、実力テストが開催されました。
「実力を試すんだろ?
だったら、直前に勉強するなんて、
ずるいじゃないか!」
と、常軌(じょうき)を逸(いっ)した理由を掲(かか)げて、
村瀬は夏休み、一切のテスト勉強を拒み、
戦いに挑みました。
数学の時間のことです。
村瀬は目が点になりました。
まるで意味が分からぬ問題が、
ずらりと並んでいたのです。
分かるところから解こうと、ページをめくっていったのですが、
どこにも引っかからないまま、最終問題に到達してしまいました。
最後の問題は、
「2の99乗(じょう)を求めよ」
というものでした。
数少ない小学生読者のために説明しますが、
これは、「2を99回かけると? (2×2×2×2・・・を99回やると?)」
という問題です。
どうやら、比較的容易に解く方法が授業で紹介されていた気もしましたが、
村瀬はきれいさっぱり忘れていました。(今も思い出せません。)
しかし、この問題だけは、他の問題と違って、
解決方法が見出せます。
近道できずとも、地道に、2をかけ続ければいいんですから。
他の問題が解ける気配がない今、
全ての時間をこの一問にぶつけるしかない!
そう心に決めて、戦闘開始です。
2×2=4, 4×2=8, 8×2=16, 16×2=32, ・・・・・・
途中から筆算を駆使して戦い続けます。
解答用紙がどんどん汚い字で埋まっていきます。
他の問題の解答欄なんて、無視して筆算を書き綴(つづ)ります。
終了時間ぎりぎりで、99回かけ終わりました。
そして、自信満々に提出しました。
数日後、テストが返却されました。
99回かけて導き出した答えに、
デカデカと「×」が印されておりました。
そのそばに、「お前ってやつは…」と担当の先生のコメントが。
結果、全問不正解という記録を残してしまったのです。
ただ、「努力点」ということでしょうか、
温情で「4点」をいただきました。
200点満点中の4点(実質0点)。
「終わった…」
という言葉が魂(たましい)と共にこぼれ落ちました。
しばらく異世界を漂っていたのですが、
間違った筆算がいっぱいに広がった解答用紙を見て、
不意に思ったのです。
「終わったっていうけど、
始めてもいないじゃないか!」
珍しく前向きになった村瀬は、
その日から、以前より、
ほんの少しだけ真面目に授業を受けるようになったのでした。
廊下に横たわっていた少年よ。
安心したまえ。
まだきみは、終わるどころか、
何も始めてはいないのではないか?
挽回(ばんかい)するチャンスなんぞ、
これから無数にあるのだぞ。
ごらんなさい。
きみのように何度も「終わった」村瀬だって、
今じゃこうして、社会に出て、
どうにかこうにか、生活できているのだよ。
「いやいや、こんな大人になりたくねえよ」
と言われたら、ぐうの音も出ないけど。
まあさ、とりあえず、
明日は、今日のことを忘れて、
村瀬と一緒に鼻をほじって、口笛を吹きながら、
ジブリの世界を満喫しようぜ。
それでは、また。