先生たちがブツブツブツ…(令和3年度)

茶碗の米粒。

2021年9月28日 17時39分

こんにちは、村瀬です。

朝方、

冷え込みを感じるようになってきました。

秋の気配が増していますね。

外で作業をしていると、

多くの気配を感じることができます。

自然豊かな相野山小学校ですから、

なおのことです。

 

はらはらと落ちる葉の量が増えて、

「レレレのおじさん」(知らないちびっ子は調べましょう)

と化す日課が今年も始まりました。

E先生や用務員のKさんによる手入れのおかげで、

『クリ拾い』も無事に挙行されています。

天候不良が続き、心配されましたが、

今年も大豊作。

スーパーで販売されているものより大ぶりのクリが、

ごろごろ転がっております。

これを商品化して販売したら、

生け垣用のバリカンや新しいリヤカーなんて、

余裕で買えるんじゃないか?

なんて、よからぬ考えが浮かんでしまうほど、

たくさん転がっております。

 

そんな『味覚』を楽しませてくれる物が、

秋にはたくさん収穫できることは、周知の通りです。

その内の一つに、

「米」が挙げられるでしょう。

本校でも、毎年3年生が総合的な学習の一環として、

常々学校や地域を支え続けてくださっている、

おまけに、

環境整備の師匠として村瀬を支え続けてくださっている、

Sさんの水田をお借りして、田植え体験をさせていただいたり、

米作りに関するレクチャーを受けさせてもらったりしております。

10月には、収穫体験もさせてもらう予定です。

 

米作りについては、3年生だけでなく、

5年生の社会科でも、

「生活と食料生産」の単元で詳しく取り上げられています。

Sさんのおかげで、

子どもたちは学んだことをしっかりと覚えており、

学習の理解につなげられています。

 

大部分、いいかげんな話やどうでもいい話ばかりで、

時間が流れていくことで有名な村瀬の授業ですが、

この単元を学習する際に、

子どもたちに必ず話す思い出話があります。

その話を今日はぶつぶつしたいと思います。

 

村瀬が高校生のときの話です。

友人のUくんの家に泊まる機会があり、

夕飯をごちそうになりました。

Uくんのおじいさん(祖父)は、

米作りを生業(なりわい)とした方で、

食卓にもおじいさんが作ったお米が並んでいました。

ご家族と一緒に談笑しながら、

楽しく、また、おいしくご飯をいただき、

満足して夕食を終えました。

 

ご承知の通り、

決してお上品な人間ではない村瀬です。

高校生の頃は、品位のかけらすらありませんでした。

「食べ散らかす」という言葉がふさわしい食事の終え方で、

茶碗には米粒がいくつも残っている状態でした。

 

そんなとき、

おじいさんが村瀬に突然言葉を投げかけました。

祖父「村瀬くん、クイズを出してあげようか?」

村瀬「ええ、いいですよ。クイズは得意です」

祖父「私は米を作っているんだけどね、

    米を1t(トン)育てるのに、

    どれだけ時間がかかるか知ってるかい?」

村瀬「うーん、4月から10月くらいだから、

    7ヶ月くらいでしょうか?」

祖父「田植えから収穫までだとそんなもんだね。

   でも、田起こししたり、種籾(たねもみ)を選んだり、

   準備を含めて考えると、1年かかるんだよ」

村瀬「1年中ですか。大変な仕事ですね」

祖父「じゃあ、次の問題だよ。

   今日食卓に並んでいた米を育てるのに、

   どれだけ時間がかかるか分かるかい?」

村瀬「はっはっは、おじいさん、村瀬はひっかかりませんよ。

   米の量が変わったって、育てる時間は変わりありません。

   ずばり、1年です。」

祖父「さすが高校生。その通りだよ。

   じゃあ、最後に。

   村瀬くんの茶碗に残っている、

   その米粒を育てるためにかかる時間は?」

勘(かん)の悪い村瀬は、そこでようやくハッとしました。

そして、あわてて、米粒をかき集め、口に運んだのでした。

 

たとえ一粒であっても、

そこには農家の方の労力がぎっしりとつまっている。

もちろん、お米だけではありません。

全ての食材は、量や大小に関係なく、

様々な努力や苦労の結晶として生まれている。

 

あの日、Uくんのおじいさんが、

決して怒ることなく、微笑みながら問いかけてくれた言葉が、

村瀬の気持ちや行動を大きく変えました。

それはまさに、

理想的な道徳の授業だったように思います。

 

今年も、一人でも多く、

子どもたちのやわらかな心に留まってくれるといいなあ。

茶碗についた米粒を箸でつまみながら、

そんなことを考えていた、村瀬なのでした。

 

それでは、また。