3年前の卒業生。
2023年3月1日 16時33分こんにちは、村瀬です。
本日は暖かい陽射しが差し込んでおります。
そんな中、
今日から体育委員会が企画した、
「逃走中」
が運動場で開催されております。
あの人気番組をパクっ、いや、オマージュしたイベントです。
村瀬も「ハンター」役として参戦させていただきました。
ちゃんと「サングラス」を装着するという熱の入れようです。
しかし、子どもたちを追いかけ始め、すぐに気付きました。
自分の「老い」に。
20m走っては息切れ。
しばらく休んで、
再び走っては、10mで息切れ。
結局、誰も捕まえられず、終了となりました。
あまりの惨状に、涙がこぼれていたのですが、
サングラスをかけていたので、子どもたちにバレずに済みました。
そんなことはさておき、
3月が始まりました。
「卒業式まで○日カレンダー」は「13」を示しています。
そして今週から、「卒業式練習」がスタートしました。
これがはじまると、「いよいよ」という思いが強まります。
昨日、今日と練習に参加させてもらいましたが、
前向きに臨む子どもたちの姿勢がとても気持ちよく感じます。
6年前の入学式のとき、
足をぶらぶらさせていたあの子が、
天井の照明を指差していたあの子が、
後ろを向いて友達にしゃべりかけていたあの子が、
H校長の話をまるで聞いていなかったであろうあの子たちが、
きれいに礼を揃えている。
微動だにせず座っている。
演台に立つ人の目をしっかりと見て話を聞いている。
その成長に、胸が熱くなる思いでした。
練習は始まったばかりですが、
きっとますます、立派な姿に変わっていくことでしょう。
ところで昨日は、
放課後、大勢のお客様がやってきました。
その数、30人越えです。
こちらも間もなく「卒業」をすることとなる、
中学3年生の面々でした。
3年前、M先生と村瀬が担任をしていた学年です。
今年度から、高校受験のスケジュールが変わり、
あとは結果を待つだけの子がほとんどのようです。
例年ですと、卒業式後に受験を控え、
緊張感の漂う時期ですが、
どの子もやるだけのことはやったか、
すでに次のステージが決まっている子ばかりで、
開放感に包まれているのがよく分かります。
身長が伸びた子、
顔つきが大人っぽくなった子、
声変わりした子、
どことなくおしとやかになった子、
様々な顔ぶれがずらりと並びましたが、
少し経てば、本質は何も変わってないなと感じました。
しょーもない話で爆笑し、
意味もなく踊りまくり、
どういうわけだか鼻血を放出する。
最終的には、
クラス対抗ドッジボール大会が開催され、
ボールと共に笑い声が飛び交いました。
あの頃と何一つ変わらない光景が目の前に広がり、
なんだかにやにやしてしまいました。
3年前の今頃、
「緊急事態宣言」が発出され、
突然の休校が決まりました。
一日一日の経過にさみしさを覚えることさえ許されない、
彼らは「不遇」の卒業生たちとなってしまいました。
卒業式を除き、最後の登校となった一日。
その一日だけで、卒業式の練習を行いました。
猛烈な勢いで流れを、言葉を、歌を覚え、練習しました。
最後に運動場で、
「別れの言葉」や「合唱」を披露したことをよく覚えています。
ホームページに流れを載せ、
休校期間中に覚えることを宿題にして、
当日を迎えました。
彼らはしっかりとその務めを果たし、
本当に立派な素晴らしい姿を見せてくれました。
不遇さを嘆くだけではなく、
こんなときだからこそできることをしたい。
村瀬とM先生の強い訴えを当時のH校長は受け入れてくれ、
卒業式後には、「第二部」と称し、
「6年生を送る会」で披露する予定だった、
「書道パフォーマンス」を行ったのでした。
素敵なお召し物を汚すわけにはいきませんので、
保護者の方には着替えを用意していただきました。
おかげで、
いつも以上に心に残る卒業式になったように感じます。
体育館で騒ぐ卒業生たちを見ながら、
そのときのことを思い出し、胸を熱くしておりました。
きっとM先生も同じ思いだったことでしょう。
しかし、落涙(らくるい)するわけにはいきません。
もしもそんな姿を見つければ、
「おい、村瀬が泣いてるぞ」
「ほんとだ。おもろー」
「M先生も泣いてるぞ」
「これがほんとの、『鬼の目にも涙』だなー」
と大騒ぎしながら、
ボールをぶつけたり、
写真やら動画やら遠慮なく撮影されたりする恐れありです。
幸いマスクがありますので、
涙は耐えて鼻水だけ流すことにしました。
解散の時間となり、最後に記念撮影をした後、
卒業生たちはM先生と村瀬にサプライズを仕掛けてきました。
それぞれが「ガーベラ」の花をくれたのです。
全て手渡されたとき、
両手では抱えきれぬほどの色とりどりの花束になったのでした。
3年前の卒業式の日にもいただきました。
が、今回はなぜでしょう。
考えに考えたあげく、一つの答えが導きだされました。
「おいおい、諸君、まさかこれは、
退職しろ、という勧告ではないのか?
いいか、少し落ち着いて考えたまえ。
確かにM先生は年を重ねすぎており、
足元も手元もおぼつかなくなっているから、
その気持ちはよく分かる。
(ここで村瀬はM先生にぶたれます。)
痛い!
しかし、この村瀬に至っては、
多少記憶力が衰え、多少体力が衰え、
多少白髪が増え、多少シミが増えたに過ぎない。
まだまだ教壇に立つことは十分可能だ。
ん? なんだ、まさか、ひょっとして、
過去のことをほじくりかえそうというのか?
ああ、確かにしょうもない話を繰り返して、
きみたちの学力を低下させたさ。
ああ、確かに残菜を減らすため、
無理矢理おかずを盛ったこともあるさ。
ああ、確かにきみには、
ひどいニックネームをつけたことはあるさ。
ああ、確かにきみには、
トランクスとランニングシャツという衣装で舞台に立たせたさ。
ああ、確かにきみには、
厳しい雷を落としたね。
でもあれは、村瀬ではなく、M先生だよ。
しかしね、諸君、過去にとらわれてどうするのだ。
M先生はともかく、
村瀬はアップデートしているのだよ。
(ここで村瀬はM先生に再びぶたれました。)
痛い!
今の村瀬は、至ってジェントルマンなのだよ。
なんなら眼鏡をかけようかとさえ迷っているよ。
授業中に脱線なんてもってのほかさ。
諸君、いつまで過去に囚(とら)われているのだ。
さあ、みんな、飛び立とうじゃないか!
明日という未来へ!」
と、いう村瀬の推測は全く間違いでした。
「中学を卒業すると、
みんなで相野山小学校に足を運ぶことはなくなる。
だから最後にお礼を兼ねて花を贈ることにした」
というような理由でした。
それを聞いて、再び胸が激しく熱くなり、
涙が吹き出そうになりました。
M先生も、涙腺(るいせん)も弱くなっているので、
目から滝のように涙が落ちる寸前でした。
あんぽんたんなことをして、
よく暴風雨が吹き荒れた学年です。
でも芯の部分はとても優しくて、
人のために心や身体を動かせる学年でもありました。
その部分も欠けることなく、
むしろ輝きを増していることが分かり、
心底嬉しく思いました。
間もなく卒業を迎える、
かつての卒業生のみなさん。
そして、少し早いですが、卒業おめでとう。
どうかその優しさを忘れずに、
新しい場所でものんびり過ごしてくださいね。
どこにいてもみなさんのしあわせを、
M先生と共に心から願っていますよ。
それでは、また。